成人ADHDが仕事で直面しやすい困りごととは

— 札幌市中央区 児童精神科専門クリニック|和光メンタルクリニック札幌宮の森ブログ

成人ADHDが仕事で直面しやすい困りごととは

— 札幌市中央区 児童精神科専門クリニック|和光メンタルクリニック札幌宮の森ブログ


ADHDとは?

ADHD(注意欠如・多動症)は、子どもの発達障害として知られていますが、大人になっても症状が続くことが少なくありません
近年では「成人ADHD」として社会的にも注目されており、仕事・家庭・人間関係など、生活全般に影響が出ることがあります。


成人ADHDにみられる主な特徴

成人ADHDの症状は、子どもの頃の「多動性」よりも、

  • 注意の持続が難しい(不注意)
  • 計画性が乏しい・整理整頓が苦手
  • 衝動的な行動・発言

といった「集中力や実行力、調整力の問題」として現れることが多いです。


仕事で困りやすいポイント

① 仕事の段取り・スケジュール管理が苦手

  • 締め切りを忘れる
  • 優先順位をつけるのが苦手
  • 一度に複数の仕事を頼まれると混乱する

といった「タスク管理の難しさ」が目立ちます。
メモを取ってもどこに書いたか忘れてしまうなど、情報整理や計画性の弱さが業務効率に影響します。


② 注意が散りやすく集中が続かない

メールや通知音、人の話し声など、周囲の刺激に注意が向きやすく、作業に集中できないことがあります。
集中が切れることで、

  • ケアレスミスが多い
  • 同じ作業に時間がかかる
  • 細かい確認を忘れてしまう

といったトラブルが起きやすくなります。


③ 衝動的な行動・発言

  • 思いついたことをすぐ口に出してしまう
  • 相手の話を最後まで聞けない
  • 感情的に反応してしまう

など、コミュニケーションのズレが生じやすい傾向があります。
その結果、上司や同僚との関係がぎくしゃくすることもあります。


④ 書類・物品の管理が苦手

  • デスクやパソコンのデータが整理できない
  • 必要な資料を探すのに時間がかかる
  • 提出書類を紛失してしまう

といった、「整理整頓や記録保持の難しさ」が仕事の質や信頼に影響することもあります。


⑤ 先延ばし・モチベーションの波

ADHDの人は、興味のある仕事には集中できますが、退屈な作業には強い苦手意識を持つことがあります。
そのため、

  • 仕事を後回しにして期限が迫って慌てる
  • やる気が出ない期間が続く

というように、モチベーションの波が激しいのも特徴です。


周囲の理解と環境調整が大切

成人ADHDの困りごとは「努力不足」ではなく、脳の情報処理の特性によるものです。
適切なサポートや環境調整を行うことで、多くの方が仕事で力を発揮できるようになります。

職場での工夫の例

  • タスク管理アプリやスケジュール帳を活用する
  • デスク周りを整理し、刺激を減らす
  • こまめに休憩を取り、集中時間を区切る
  • 上司や同僚に「忘れやすい特性」を理解してもらう

また、必要に応じて薬物療法(コンサータ・ビバンセなど)や認知行動療法を併用することで、注意力や自己管理力を補うことも可能です。


まとめ

  • 成人ADHDでは、仕事上で「注意の持続・段取り・衝動性・整理整頓」などに困りごとが出やすい
  • これは努力の問題ではなく、脳の特性によるもの
  • 適切な治療と環境調整で、能力を十分に発揮できるようになる

🌿 和光メンタルクリニック札幌宮の森では
成人のADHDに対して、

  • 丁寧なカウンセリング・心理検査
  • 生活習慣・職場調整のアドバイス
  • 必要に応じた薬物療法

を組み合わせ、その人らしく働ける支援を行っています。
「仕事でミスが多い」「集中が続かない」「上司や同僚とうまくいかない」といったお悩みがある方は、一度ご相談ください。