ADHD症状が改善するとコミュニケーションスキルは向上するのか?――札幌市中央区・児童精神科専門クリニック和光メンタルクリニック札幌宮の森――
ASDにADHDが合併した場合
ADHD症状が改善するとコミュニケーションスキルは向上するのか?
――札幌市中央区・児童精神科専門クリニック
和光メンタルクリニック札幌宮の森――
「ASD(自閉スペクトラム症)とADHDの両方があると言われました」
「落ち着きがなく、話を聞けないせいで、人とのやり取りがうまくいきません」
このようなお悩みは、診療の現場で非常によく聞かれます。
結論からお伝えすると、
ASDにADHDが合併している場合、ADHD症状が改善することで、
コミュニケーションスキルが“実用的に向上する可能性は十分にあります”。
ただし、
- ASDの特性そのものが消えるわけではない
- 「コミュニケーションが得意になる」というより
「やり取りが成立しやすくなる」
という理解がとても重要です。
1. ASDとADHDは合併しやすい
ASDとADHDは、以前は別々の診断と考えられていましたが、現在では
- ASDのある方の 30~50%程度にADHD特性が合併
- ADHDのある方にもASD特性がみられることが少なくない
ことが分かっています。
そのため、
「ASDだけの問題だと思っていたが、実はADHD症状が強く影響していた」
というケースも多く見られます。
2. ASD+ADHDでコミュニケーションが難しくなる理由
ASDのコミュニケーションの苦手さに、ADHDの特性が重なると、
“本来以上に”やり取りが難しく見えることがあります。
① ADHDの不注意が影響する場合
- 相手の話を最後まで聞けない
- 途中で注意がそれる
- 表情や声のトーンに気づく前に話が終わってしまう
→ 相手の意図を理解する前に会話が終わる
② 衝動性による影響
- 相手の話を遮って話し出す
- 思いついたことをすぐ言ってしまう
- 空気を読まず発言してしまう
→ 「分かっていない」「失礼」と誤解されやすい
③ 感情コントロールの難しさ
- 注意されるとすぐに怒る・落ち込む
- 会話の中で感情が爆発しやすい
→ 会話がトラブルで終わりやすい
このように、
ASDの“理解の特性”に、ADHDの“行動の不安定さ”が加わることで、
コミュニケーションがさらに成立しにくくなるのです。
3. ADHD症状が改善すると何が変わるのか?
ADHD症状が整うと、ASDの特性が消えなくても、
コミュニケーションの「土台」が安定します。
① 相手の話を「最後まで聞ける」ようになる
- 注意の持続が改善
- 会話の流れを追いやすくなる
→ 相手の言葉・意図を理解できる場面が増える
② 衝動的な発言・割り込みが減る
- 考える前に話すことが減る
- 会話の順番を待てるようになる
→ 「話し合い」が成立しやすくなる
③ 感情の爆発が減る
- イライラしにくくなる
- 注意されても立て直しやすい
→ トラブルが減り、会話が続きやすい
④ 失敗体験が減り、自己肯定感が上がる
- 「うまく話せた」「伝わった」という経験が増える
→ 人と関わる意欲が育つ
4. ここが大切:ASDの特性そのものが治るわけではない
重要な点として、
ADHD治療によってASDの中核特性(暗黙の了解の理解、非言語的サインの読み取りなど)が完全に改善するわけではありません。
しかし、
「分かっていない」からできなかった
のではなく
「落ち着かず、聞けず、反応が速すぎた」ために
力を発揮できなかった
お子さんでは、
ADHD症状が改善することで
本来持っているコミュニケーション能力が表に出てくる
ことがよくあります。
5. ADHD治療と組み合わせると効果的な支援
コミュニケーションの改善には、以下の組み合わせが重要です。
● ADHD症状への治療
- 環境調整
- 行動面のサポート
- 必要に応じた薬物療法
● ASD特性への理解と支援
- 具体的・視覚的な説明
- ソーシャルスキルトレーニング
- 予測可能な環境づくり
この両輪がそろうことで、
「話せる」「関われる」場面が確実に増えていきます。
6. こんな変化が見られることがあります
ADHD症状が整ったASD+ADHDのお子さんでは、
- 会話中に目を向ける時間が増える
- 途中で席を立たずに話を聞ける
- 友だちとのトラブルが減る
- 家族との会話が穏やかになる
- 「話すのが嫌」から「まあ大丈夫」へ
といった変化が見られることがあります。
7. まとめ
- ASDとADHDは合併しやすい
- ADHD症状はコミュニケーションを“さらに難しく見せる”要因になる
- ADHD症状が改善すると、会話が成立しやすくなり、
実用的なコミュニケーションスキルが向上する可能性がある - ASDの特性そのものが消えるわけではないが、
本来の力が発揮されやすくなる - 治療と環境調整を組み合わせることが重要
和光メンタルクリニック札幌宮の森より
「ASDだから仕方ない」と思われていたコミュニケーションの困りごとが、
実はADHD症状の影響を強く受けていることは少なくありません。
当院では、
お子さん一人ひとりの特性を丁寧に評価し、
ASD・ADHDの両面から、生活と人間関係が少しでも楽になる支援を行っています。
ご不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。


