ASD(自閉スペクトラム症)の感覚過敏は、内服薬で改善する可能性があるの?

ASD(自閉スペクトラム症)の感覚過敏は、内服薬で改善する可能性があるの?

札幌市中央区
和光メンタルクリニック札幌宮の森


ASDの「感覚過敏」とは

ASD(自閉スペクトラム症)の方の多くが、

  • 音がつらい
  • 光がまぶしすぎる
  • 服のタグや素材が耐えられない
  • においで気分が悪くなる

といった感覚過敏を経験します。

感覚過敏は「わがまま」や「気にしすぎ」ではなく、
脳が刺激をうまく調整できない特性によるものです。


薬で感覚過敏は治るの?

まず大切なポイントとして、

感覚過敏そのものを直接治す特効薬は、現在のところありません。

しかし実際の診療では、

  • 睡眠
  • 不安
  • 興奮しやすさ
  • 衝動性
  • ADHD症状

などを整えることで、
「刺激に耐えられるようになる」「日常生活が楽になる」
ケースは少なくありません。


感覚過敏の改善につながる可能性がある内服薬

① 睡眠を整える薬

睡眠不足があると、感覚過敏は強くなりやすくなります。

  • 寝つきが悪い
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 朝起きられない

こうした状態を改善することで、
日中の感覚過敏やイライラが和らぐことがあります。

特にASDでは、体内リズムを整える薬が選択されることがあります。

期待できる効果

  • 入眠しやすくなる
  • 睡眠リズムが安定する
  • 日中の刺激耐性が上がる

② 過覚醒・衝動性を抑える薬

常に緊張状態が高く、刺激に「即反応」してしまうタイプでは、
落ち着きやすくなることで感覚過敏が軽減することがあります。

  • そわそわが強い
  • ちょっとした刺激で爆発する
  • ADHD特性を伴う

こうした場合、脳の興奮をやわらげる薬が選択肢になります。

期待できる効果

  • パニックになりにくくなる
  • 刺激を受けても切り替えやすくなる
  • 衝動的な反応が減る

③ かんしゃく・攻撃性・自傷が強い場合の薬

感覚過敏が引き金となって、

  • 激しいかんしゃく
  • 物を投げる
  • 自分や他人を傷つけてしまう

といった状態が出る場合、
**「易刺激性(刺激に過剰反応する状態)」**を抑える治療を行うことがあります。

これにより、

  • 生活の安全性が高まる
  • 家庭や学校でのトラブルが減る
  • 感覚刺激が来ても崩れにくくなる

といった変化が期待されます。

※あくまで「感覚過敏を消す薬」ではなく、
爆発的な反応を抑えるための治療です。


④ 不安が背景にある場合の薬

感覚過敏は、不安と強く結びついていることがあります。

  • 「また音がしたらどうしよう」
  • 「失敗したら怖い」
  • 「予想外が耐えられない」

こうした不安が強い場合、
不安症状への治療を行うことで感覚過敏が和らぐことがあります。

ただしASDでは薬の反応に個人差が大きいため、
少量から慎重に開始し、丁寧に評価することが重要です。


薬物療法を検討したほうがよい目安

次のような場合は、薬を含めた相談をおすすめします。

  • 感覚過敏で登校・外出・通院が難しい
  • パニックやかんしゃくが頻繁に起こる
  • 睡眠が乱れ、日中の状態が悪化している
  • 不安やこだわりが強く、生活範囲が狭くなっている
  • 環境調整だけでは限界を感じている

和光メンタルクリニック札幌宮の森で大切にしていること

当院では、

  • 感覚過敏=すぐに薬とは考えません
  • 環境調整・生活リズム・ご本人の特性理解を大切にします
  • 必要な場合のみ、最小限・慎重な薬物療法を行います

「完全に治す」ことよりも、
「その人が生活しやすくなる」ことを目標に、一緒に考えていきます。


まとめ

  • 感覚過敏そのものに直接効く薬はない
  • しかし、睡眠・不安・興奮性・衝動性を整えることで
    結果的に感覚過敏が和らぐことはある
  • 薬はあくまで選択肢のひとつ
  • 一人ひとりに合った方法を丁寧に探すことが大切